双極性障害とは
双極性障害は気分の極端な変動を特徴とし、躁状態と呼ばれる極度の気分高揚状態と、うつ状態と呼ばれる深刻な憂鬱状態が交互に少なくとも2回、現れる精神疾患です。
躁状態の時には過度に気分が高揚し、活動性が増大するため、興奮状態となることもあります。心的エネルギーが大きくなるので何でも出来るような万能感があり、常識を超えた無謀な挑戦をし、浪費して経済的に大きな損失を被ったり、自己中心的に行動して人間関係にひびが入ったりするなど、その後の生活に大きな影響を及ぼします。
うつ状態では悲しみ、イライラ、考えがまとまらない、集中力や理解力が低下して物覚えが悪くなったように感じる、後悔して自分を責めるといった酷く辛い気分が続き、死んでしまいたいと考えてしまうこともあります。
症状が重篤な場合には幻覚や妄想が出現することもあります。これらの症状を患者様ご本人はなかなか自覚できない場合もあり、家族や友人など周囲の方々の理解と協力も必要となってきます。
下記のチェックリスト①、②の項目からそれぞれ2つ以上が当てはまる方や、症状がすぐれない方はお気軽にご相談ください。
双極性障害の原因
双極性障害の原因はまだ解明されていませんが、遺伝的要因、脳内のセロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の異常、環境からのストレスなどが関与していると考えられます。
また、薬物やアルコールなどの乱用、睡眠障害もリスク要因とされています。
双極性障害の診断
まずは問診で具体的な症状や経過を伺いながら、診断基準に基づいて診断します。
甲状腺疾患など器質的疾患が誘因となっている場合には、採血など身体的な検査を行います。
※問診に際しては、患者様ご本人からの情報はもとより、ご家族や身近な方々からの情報が大切ですので、普段のご様子をよく知っていらっしゃる方の同伴をお願いする場合がございます。
双極性障害の治療方法
双極性障害の治療には一般的に、薬物療法と心理療法が用いられます。
躁状態では感情調整作用のあるお薬や、うつ状態を緩和するための抗うつ薬などが、その時の状態に合わせて使用されます。
心理療法では、症状を自己管理するスキルを身に着ける練習や、気分の安定を維持することができるように、認知行動療法や家族療法が行われます。
双極性障害では症状のコントロールを自力で行えるようになることが大切ですが、それは精神力だけで頑張るのではなく、その時々のご自身の心の状態を把握して、症状が悪化する前に主治医に相談し、症状に応じた治療を選択していくことも大事です。
また、ご家族や周囲の方々の協力も大切になってきます。