うつ病とは
うつ病とは、気分障害の一つであり、持続的な抑うつ気分や興味と喜びの喪失、活動性の減退、著しい疲労感などを特徴とします。
具体的には、憂鬱な気分が2週間以上続く、興味や楽しみがなくなる、疲労感や倦怠感がある、集中力や判断力が低下する、食欲低下または過食、睡眠の異常(不眠または過眠)などがあげられます。
これらの症状が持続していて、日常生活や社会生活に支障が出ている場合、うつ病の可能性が高いと言えます。
どの疾患にも言えることですが、うつ病の場合も早期の診断と早期の治療的介入が 重要となってきます。
下記のチェックリストに3つ以上当てはまる方、症状がすぐれない方はお気軽にご相談ください。
うつ病の診断方法
うつ病の診断は一般的に『DSM-5』や『ICD-10』などの国際的な疾患分類、または日本独自の『日本うつ病学会診断基準』などに基づいて行われます。
2週間以上、下記の症状が続くような場合、うつ病の可能性は高くなります。
- 常に憂鬱で、何にたいしても興味がもてない
- 不眠、過眠などの睡眠障害が続いている
- 食欲低下、または過食がある
- 集中力が低下して考えがまとまらず、以前よりも作業能力が低下したように感じる
- 将来に希望が持てず、悲観的になる
- 自分には価値がなく、いない方がいいと考えてしまう
- 頭痛、めまい、耳鳴り、肩こり、胃腸症状などの身体症状があり、なかなか改善しない
症状が重篤な場合には被害的な内容の妄想
- 幻聴(悪口を言われているような内容の声、音楽、要素的な音)
- 幻視、幻臭(腐敗臭、便臭など嫌な臭い)
- 体感幻覚(皮膚の下を何かが動くような感じ、喉が詰まっているような感じなど)
が生じることもあり、これらの症状の持続期間や重症度などを考慮して診断を行います。
身体的要因(甲状腺機能低下症などのホルモン異常など)が原因と考えられる場合には、血液検査など身体についての検査が用いられることもあります。
うつ病の原因
うつ病は環境要因、遺伝要因、生物学的要因などが発症の誘因となります。
環境要因としては、家庭や学校、職場などで生じる対人関係のストレスや多忙による心身の消耗があげられます。
長期に渡る大きなストレスで心身が疲労すると、ストレスホルモンが分泌されて脳がダメージを受け、身体の情報伝達を担う神経伝達物質のバランスが崩れ、うつ病の症状が現れると考えられています。
また、体質など生物学的な要素は遺伝によって引き継がれますが、体質によってはうつ病になりやすい条件を備えている場合があります。
この場合、体質や症状の傾向を把握することにより、症状への対策が立てやすくなります。
うつ病の原因にはまだ解明されていない部分も多く、具体的な原因は各々で異なります。
症状に気づいた時には一人で抱え込まずに、相談する場所を見つけましょう。
診断や治療には専門的知識が必要ですので、早めの受診をお勧めします。
うつ病の治療方法
うつ病の治療には、一般的に薬物療法や認知行動療法などがあります。
薬物療法では、抗うつ薬や抗不安薬などの薬剤が使用されます。これらのお薬は、脳内の神経伝達物質のバランスを調整し、うつ病の症状を和らげる効果があります。
また、認知行動療法では自己を否定して物事を悲観的にとらえる考え方にアプローチし、思考や行動のパターンの改善を図ります。
さらに心理療法やリラクゼーション法、運動療法などもうつ病の治療に有用です。 治療については個別の症状や状況に合わせた適切なプランが重要です。
うつ病と心の健康
うつ病は心の健康に大きな影響を及ぼします。
心の健康を保つためにも、まずは日頃のご自身の心の状態をよく観察しておくことが重要です。
いつもと違い、心が苦しい状態であることを自覚した時、または身近な家族や友人がうつ病に悩まされていらっしゃる場合には、ご自身だけで抱え込まずに、早めに受診することをお勧めします。